アンバー(琥珀、コハク)は、実は鉱物ではありませんが、宝石として昔から国や地域を問わずに珍重されてきました。
この記事では、そんなアンバーのストーリーや色・性質などから、宝石としての石言葉、パワーストーンとしての意味までじっくりと解説していきたいと思います!
目次
アンバーの基本データ
鉱物名 (英語) | アンバー (Amber) |
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別名、略称 | 琥珀 (コハク) |
主な産地 | バルト海沿岸(ラトビア、リトアニア)、ロシア、ポーランド、中国 |
主な色 | コハク色 |
構造 | 非晶質 |
硬度 | 2 ~ 2.5 |
比重 | 1.05 ~ 1.10 |
屈折率 | 約1.5 |
光沢 | ガラス光沢 |
岩石の成分 | C, H, O, + H2S + (その他、多様な元素) |
アンバーの名前の由来
アンバーの名前は、アラビア語の ‘anbar (香気を放つ、海に漂う) に由来します。実際に、特定の条件で琥珀を燃やすと、松木を燃やしたような香りがします。
古代ギリシャやローマでは、アンバーは「太陽の輝き」を意味する エーレクトロン と呼ばれていました。
ここに英語で「電気」を意味する electron (エレクトロン)は、琥珀を布などでこすると静電気が発生することからきていると言われています。
中国語の琥珀の “琥” とは古代中国の虎を意味し、アンバーが「虎が死んだ後石になったもの」と信じられていたからです。”珀” は貴重な、という意味があり、合わせて琥珀となりました。
また、ドイツ語で琥珀はベルンシュタインというのですが、これは「燃える石」という意味で、アンバーが可燃性であることから名付けられたとされています。
アンバーの性質・ストーリー
アンバーは他の一般的な鉱物とは違って、マツ科の植物の樹液が何万年もかけて地中の圧力によって固められた非晶質の宝石です。
そのため、アンバーは独自の性質やストーリーを持っています。
- 虫や植物が入ったアンバーがある
- アンバーはいろんなものに使える?
- アンバーという香りがある?
- コハク色って何色?
1. 虫や植物の入ったアンバーがある
アンバーは、植物の樹液などが固まってできるので、その中に昆虫や植物が入ることがあります。
例えば、今までにアリやハエ、クモなどの昆虫や生物、それに植物の葉や種などが入ったアンバーが発見されています。
これらのアンバーは、「虫入りコハク」と呼ばれていて、通常のものより大変価値があります。
虫入りコハク
虫入り琥珀は、他の化石に比べて中の保存状態が格段に高いので、考古学的にも大変貴重なものです。
ただ、映画『ジュラシックパーク』のように琥珀の中の蚊の血からDNAを採取して恐竜を復元したりすることは、現代の科学では難しいそうです。
また、樹脂が固まる時に、温められたり冷えたりして、アンバーの中の気泡が “魚の鱗” のような 独特な模様をすることがあります。
これは「太陽のスパングル」や「グリッター」と呼ばれているのですが、本物の琥珀にしか見られない特徴なので、必然的に貴重なものになります。
2. アンバーは色々な用途に使えた?
アンバーは、様々な用途に使用されていて、宝石以外にも貴重な用途がありました。
例えば、燃やすと良い香りがすることから、線香やお香などに用いられたり、熱で溶かした琥珀に油を混ぜ込んで、ニスのように使っている地方もありました。
このため、アンバーは綺麗でなく、宝石として貴重でないものでも重宝され、江戸時代には幕府への献上品としていたこともありました。
また、海外ではリトアニアやポーランドなど主にバルト海(北ヨーロッパの地中海) でよく発見されていて、その貴重さから同じ重さの金と交換されたりしていました。
このことから、アンバーは「北方の金」と呼ばれていました。
日本でも、主に北海道や岩手県などで発見されています。
3. アンバーという香りがある
現在、英語で amber というと、アンバーグリスのことを示します。アンバーグリスとは、日本語では「龍涎香(りゅうぜんこう」のことです。
龍涎香とは、マッコウクジラの腸にできる結石で、昔から香料として利用されてきました。
1gで2,000円もするものもあり、爽やかで上品な香りがします。
香水などで見かける「アンバー」とは、この龍涎香であることが多いですが、近年では本物の琥珀の香りを人工的に再現したものもあるそうで、そちらは蜂蜜のような甘い香りがするそうです。
4. コハク色って何色?
コハク色と呼ばれる色は、その名の通り、アンバーの色に似た色を示しています。
透き通ったオレンジ、光り輝く黄金色、濃いハチミツ色などと形容されることが多く、ウイスキーなどの色合いを表したりします。
アンバーの宝石言葉
アンバーの宝石言葉としては、以下のものが有名です。
- 歓喜
- 想像
- 柔軟
“歓喜” という言葉は、アンバーの内側から輝くような黄金色を見ると思い浮かぶイメージだと思います。
また、琥珀は鉱物的にも柔らかめであるため、柔軟などの意味も強く持ちます。素材的には樹脂に分類されるので、温かみのあることも関係しています。
パワーストーンとしてのアンバー
パワーストーンとしてのアンバーには、以下のような暗示を受ける人が多くいます。
- エネルギーを蓄える
- 金運に恵まれる
- 魔除けのお守り
アンバーは、長い年月をかけてできるために、そこに蓄えられた自然のエネルギーを感じる人が多くいます。
加えて、昆虫などが中に入っているものもあるので、”生命” とのつながりを見つけやすい石です。
そうしたことから、魔に対する耐性のある石としても認められてきました。西洋ではロザリオなどに、東洋ではお守りや数珠などに使われることも多くなっています。
また、こすると静電気が発生して、埃などを引きつける性質から、昔の人は「金や財産が吸い寄せられる」というイメージを持ちました。
そのため、金運や財運がアップする石としても知られています。